梅酒蔵【おおやま夢工房】を見ていた夜、冷蔵庫の光がやけにやさしかったです

夜の22時すぎ、仕事から帰ってきて、片方だけ靴下を脱いだまま、キッチンの前でぼーっと立っていました。
冷蔵庫を開けたら、昨日の残りの豆腐と、賞味期限が近い卵と、買った記憶のない小さいチーズがいて、「私の生活、ちょっと地味すぎない?」と声に出しかけました。
誰にも聞かれていないのに、ひとり暮らしの部屋で急に恥ずかしくなるあの感じ、ありますよね。
そのままスマホを開いて見ていたのが、梅酒蔵【おおやま夢工房】でした。
大分県日田市大山町の梅を使った熟成梅酒「ゆめひびき」や、ギフト向けの梅酒を扱う梅酒専門蔵みたいで、画面の中に並ぶ瓶が、なんだかちゃんとした大人の夜みたいに見えました。公式オンラインショップでは「熟成梅酒ゆめひびき」や「南高梅のこだわり梅酒」などが紹介されています。
「梅酒って、こんなに静かに女心を揺らすものだったっけ」と思いながら、私は冷蔵庫の光を浴びたまま、しばらく画面を見ていました。
大人になったら、もっと自然にお酒を楽しめる人になると思っていました。
グラスに氷を入れて、カラン、と音を立てて、今日の疲れをほどくように飲む。
そんな姿を勝手に想像していたのに、実際の私は、コンビニ袋を床に置いたまま、メイクも落とさず、洗濯物の山を見ないふりして、スマホで梅酒を眺めているだけです。
自分へのツッコミが追いつかないです。
でも、梅酒って少し不思議で、ビールみたいに「飲むぞ!」という勢いより、もう少し小さな声で近づいてくる感じがします。
疲れている日でも、甘さに逃げてもいいような気がするし、酸っぱさが残っているところも、なんとなく今の自分に似ていて、勝手に親近感を持ってしまいました。
おおやま夢工房の梅酒は、大山産の梅を使い、長期熟成で造られているものもあるそうです。中でも「熟成梅酒ゆめひびき」は、鶯宿梅を使った原酒タイプで、濃厚な味わいが特徴と紹介されていました。
濃厚。
その言葉を見た瞬間、なぜか自分の一日を思い出しました。
お客様の前ではにこにこして、職場では「大丈夫です」と言って、友達には「最近どう?」と聞かれても「まあまあかな」と返して、婚活アプリでは変に明るい文章を打って、帰宅したら電池が切れたように座り込む。
私の毎日も、意外と濃厚です。
ただ、梅酒みたいにきれいな瓶には入っていないだけで。
春の終わりが近づく4月25日、七十二候では霜止出苗の頃で、霜がおさまり、苗が育ち始める季節だそうです。
そんな日に、私の部屋では苗どころか、昨日使ったマグカップすらシンクで静かに待機していて、「成長とは……?」となりました。
こういう小さな恥って、人には言いにくいです。
美容の仕事をしていて、ちゃんとして見られることも多いのに、家ではわりと生活が散らかっています。
おしゃれな梅酒を見て「これを置いたら部屋も整うかも」と思ってしまう自分もいます。
商品に生活を救ってもらおうとするな、私。
でも、そういう気持ちも少しだけ本音です。
ギフト用の箱に入った梅酒を見ていたら、誰かに贈るより先に、自分に渡したくなりました。
「今日も一応やったね」って。
大げさなご褒美じゃなくて、冷蔵庫の前で小さく乾杯するくらいの、誰にも報告しないご褒美。
梅酒をロックで飲むのか、ソーダで割るのか、お湯割りにするのか、そんなことを考えているだけで、少し部屋の空気が変わる気がしました。
まだ飲んでもいないのに。
人に言えない感情で言うと、私はたまに、ちゃんと暮らしている女性に嫉妬します。
季節の花を飾って、夜は照明を落として、グラスにお気に入りのお酒を注いでいるような人。
インスタで見ると「素敵〜」と思うのに、心のどこかで「その余裕、どこで売ってますか」と思ってしまう。
でも、梅酒蔵【おおやま夢工房】のページを見ていた夜は、少しだけ違いました。
完璧な暮らしを始めるためじゃなくて、乱れたままの今日に、小さな香りを足すくらいなら、私にもできるかもしれないと思ったんです。
たぶん、部屋は急に片づかないし、婚活の返信も明日また悩むし、肌の調子も毎朝ガチャみたいなところがあります。
それでも、瓶の中で時間をかけて熟成された梅酒を見ていると、すぐに整わないものにも、少しだけ居場所があるように見えました。
大人の女性って、完成形になることではなくて、こんな夜に「まあ、今日はこれでいいか」と小さく言えることなのかもしれません。
グラスを持つ手がきれいじゃなくても、部屋着が毛玉でも、氷の音だけはちゃんと夜に響く。
その音を聞いたとき、私は何を思うんだろう。
飲みたいのは梅酒なのか、誰にも急かされない時間なのか、まだ少しわからないままです。






