深夜になると、カートに入れた服が急にいらなくなる夜

6月に入りました。
窓を少しだけ開けると、湿気を含んだ夜風がカーテンを揺らします。
昼間は夏みたいに暑かったのに、夜になると少しだけ寂しくなる季節です。
私は最近、ある不思議な癖があります。
それはネットショップで服やコスメをカートに入れて、そのまま買わないことです。
昔は欲しいと思ったらすぐ購入していました。
なのに30歳を過ぎた頃からでしょうか。
購入ボタンを押す直前で手が止まるようになりました。
気づけばカートの中にはワンピースが3着。
リップが2本。
サンダルが1足。
そして何日もそのままです。
今日はそんな少し変わった30代独身女性の悩みについてお話ししたいと思います。
欲しいものではなく「なりたい自分」を買おうとしている
昔の私は単純でした。
かわいい。
欲しい。
買う。
それだけだった気がします。
でも今は違います。
ワンピースを見ると考えてしまうのです。
「これを着て行く場所あるかな」
「デートの予定ないな」
「会社も辞めたし着る機会ないかも」
「本当に似合うかな」
頭の中で会議が始まります。
しかも議長も自分。
反対派も自分。
賛成派も自分です。
30代になると物を買うというより、その先の人生まで想像してしまいます。
この服を着て笑っている自分。
このバッグを持って旅行する自分。
このコスメを使って自信を持つ自分。
つまり私たちは商品を買いたいのではありません。
「こうなりたい未来の自分」を買おうとしているのです。
だから決められません。
未来の自分に自信がないからです。
それが20代との大きな違いなのかもしれません。
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スマホを開けばおすすめ商品が流れてきます。
SNSでは美容系インフルエンサー。
動画では購入品紹介。
広告では限定セール。
気づけば一日中、何かを勧められています。
便利な時代です。
でも時々思います。
便利すぎて疲れる、と。
昔は近所のデパートで選ぶだけでした。
今は世界中の商品から選べます。
選択肢が多いことは幸せなはずなのに、不思議と心は軽くなりません。
むしろ重くなります。
「あっちの方が良かったかも」
「もっと安いものがあるかも」
「来月セールになるかも」
そんな考えが止まりません。
だからカートは増えるのに購入履歴は増えません。
まるで人生そのものみたいです。
選択肢が増えた令和だからこそ、決めることが難しくなっているのです。
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先日、夜中の1時。
私はお気に入り登録した商品を見返していました。
ワンピース。
サンダル。
アクセサリー。
どれも素敵です。
でもその時ふと思いました。
「私、本当にこれ欲しいのかな」
そこでスマホを閉じました。
代わりに近所のコンビニまで散歩に出ました。
湿った夜風。
静かな住宅街。
遠くで聞こえる電車の音。
その時気づいたのです。
私が欲しかったのは服ではありませんでした。
新しい出会いでした。
変化でした。
誰かと笑う時間でした。
少し先の楽しみでした。
カートの中の商品たちは、その寂しさを埋める代理人だったのです。
もちろん買い物は楽しいです。
否定するつもりはありません。
でも30代になると、物欲の裏側にある感情が見えるようになります。
それは少し大人になった証拠なのかもしれません。
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そして先月。
私は思い切ってカートの中を全部削除しました。
お気に入りも整理しました。
総額は8万円近くありました。
少し達成感すらありました。
節約成功です。
これで満足。
そう思っていました。
ところが翌週。
思いがけないことが起きます。
婚活アプリで知り合った男性と会うことになったのです。
慌てました。
本当に慌てました。
着て行く服がありません。
なぜなら全部カートから消していたからです。
結局、数年前に買ったワンピースを着て行きました。
鏡を見ると少し古いデザインです。
でも不思議でした。
相手は服の話なんて全然しませんでした。
好きな食べ物の話。
休日の過ごし方。
子どもの頃の話。
そんな話ばかりでした。
帰り道、私は笑ってしまいました。
何万円もする服で人生が変わると思っていたのです。
でも実際に人生を動かしたのは、一通のメッセージでした。
あの時カートに入っていた服たちは結局必要ありませんでした。
本当に欲しかった未来は、購入ボタンの向こうではなく、自分で一歩踏み出した先にあったのです。
だから今夜もし、あなたのカートの中に何日も眠っている商品があるなら。
買ってもいいです。
買わなくてもいいです。
でも一度だけ考えてみてください。
その商品の向こう側で、あなたは何を求めていますか。
もしかしたら欲しいのは服でもコスメでもなく、少しだけ未来への期待なのかもしれません。
そしてその期待は、案外スマホを閉じた先にあるのかもしれません。






