電話占いを開きたくなる夜、私たちは未来より「安心」を探している

七月七日。今日は七夕です。
子どもの頃は、短冊に「ケーキ屋さんになれますように」なんて、迷いなく書けた気がします。願い事は、空に向かって投げればよかったのです。
それなのに大人になると、願い事を書く前に現実を計算してしまいます。
結婚したい。でも、本当にこの人でいいのだろうか。
転職したい。でも、年収が下がったら暮らせるだろうか。
もう連絡しないと決めた。でも、スマートフォンが光るたびに期待してしまう。
笹の葉が夜風に揺れる季節なのに、私の心だけは風通しが悪いままです。
昼間は平気な顔をしていられます。
仕事の連絡に返信して、コンビニでアイスコーヒーを買い、SNSに流れてくる友人の結婚報告には、ちゃんと「おめでとう」と送ります。
でも、夜になると昼間に押し込めた感情が、冷蔵庫の奥から転がり落ちてきた野菜みたいに、次々と姿を現します。
「あの言い方、嫌われたかな」
「返信が遅いのは、もう興味がないから?」
「私はこのまま、誰にも選ばれないのかな」
誰かに相談したい。でも友人には、同じ恋愛の話を何度もしています。
母に話せば、「そんな男はやめなさい」と三秒で結論を出されます。婚活仲間に話せば、励ましてもらえる一方で、なぜか自分の市場価値まで採点されている気持ちになります。
だから私は、誰にも話さずに検索窓を開きました。
入力したのは、彼の名前でも婚活の攻略法でもありません。
「電話占い 相手の気持ち」
打ち込んだ瞬間、少しだけ恥ずかしくなりました。
占いに答えを決めてもらいたいわけではない。そう思いたい自分がいました。でも本当は、答えが欲しかったのだと思います。
正確には、「大丈夫」と言ってくれる声が欲しかったのです。
占ってほしいのではなく、否定されずに話したかった
私は一度、ココナラの電話占いのページを開いたまま、三十分ほど動けなくなったことがあります。
画面には、たくさんの占い師のプロフィールが並んでいました。
タロット、四柱推命、霊感、占星術。恋愛、復縁、結婚、仕事、人間関係。やさしく寄り添うタイプ、はっきり伝えるタイプ、現実的なアドバイスをするタイプ。
選択肢が多いことは便利なはずなのに、その夜の私には少し眩しすぎました。
私は誰かに未来を当ててほしいのか。
彼の気持ちを教えてほしいのか。
それとも、ただ泣いても迷惑がられない場所が欲しいのか。
考えているうちに、自分が電話占いに求めているものが、占いそのものではないことに気づきました。
身近な人に相談すると、相手との関係が残ります。
「まだあの人のことを気にしているの?」
「この前、もう諦めるって言ってなかった?」
悪気のない言葉でも、弱っている夜には刺さります。
その点、顔の見えない相手には、昼間の私を守らなくてもいいのかもしれません。
しっかり者でいる必要も、前向きな結論を出す必要もありません。「三日前から既読がつかないだけで、何も手につきません」と、そのまま言ってもいい。
ココナラの電話相談は、出品者と利用者の電話番号が相手に通知されない仕組みで、相談料は一分単位です。公式案内では一分100円からとされ、アプリを使った通話では通話料が無料、通常の電話回線を利用する場合は別途一分20円が加算されると説明されています。相談相手をプロフィールや評価などから比較できることも、利用を考える人にとっては一つの安心材料です。
顔を見せなくていいこと。
本名や電話番号を直接伝えずに話せること。
自宅から利用できること。
話したいと思った瞬間に、相談できる相手を探せること。
これらは、夜中にひとりで考えすぎてしまう人にとって、確かにメリットだと思います。
対面の占い店に入る勇気がなくても、電話なら声だけです。
化粧を落としたあとでもいい。部屋着でもいい。泣いて目が腫れていても、誰にも見られません。
その気軽さに救われる夜は、きっとあります。
ただ、気軽であるからこそ、私は自分に一つだけ確認しておきたいと思いました。
「今の私は、答えが欲しいのか。それとも、話を聞いてほしいのか」
この二つは、似ているようで、まったく違います。
話を聞いてほしいだけなのに、未来の断定を求め始めると、いつの間にか自分の人生のハンドルを誰かに渡してしまうことがあるからです。
一分の料金より怖いのは、「あと少しだけ」が積み重なること
電話占いを使うとき、最初に確認したいのは料金です。
一分100円なら、十分で1,000円です。
一分300円なら、十分で3,000円になります。
会話が盛り上がると、十分は驚くほど短いです。
自分の状況を説明するだけで五分。相手の話を聞いているうちに、さらに十分。「最後に一つだけ」と質問したら、また数分。
終わってから履歴を見て、思った以上の金額になっていたら、心を軽くするための時間が、翌日の不安を増やしてしまいます。
私は年収300万円です。
一回数千円の相談料を、「心を整えるための必要経費」と呼べる月もあります。でも、毎週、毎日のように利用すれば、話は変わります。
占いで傷つくのは、悪い結果を言われたときだけではありません。
良い結果を言われたときも、危うくなることがあります。
「もうすぐ彼から連絡が来ます」
そう言われたら、今日かもしれない、明日かもしれないと期待します。
でも連絡が来なかったら、「時期がずれたのかもしれない」ともう一度相談したくなります。次の相談では、「彼の気持ちが変わったのでしょうか」と聞きたくなります。
不安を消すために始めた相談が、不安を確認する習慣に変わることがあります。
国民生活センターは、占いサイトの利用を続けるうちに高額な費用になったり、「鑑定を最後まで受けないと不幸になる」などと言われて利用をやめにくくなったりする事例について注意を呼びかけています。特に、不安をあおる言葉や、やりとりを不自然に引き延ばす対応をうのみにしないことが大切です。
これは、占いを楽しむこと自体が悪いという話ではありません。
映画を観て心が動くように、占いの言葉によって、自分でも気づかなかった気持ちが見えることがあります。
「本当は彼と復縁したいのではなく、あの頃の自分に戻りたいだけだった」
「結婚したいと思っていたけれど、焦っている理由は友人と比べていたからだった」
そんな気づきが生まれるなら、その時間には意味があります。
けれど、占い師の言葉が、自分の判断より強くなり始めたら、一度電話を置いたほうがいいと思います。
私なら、利用する前に次のことをメモします。
今日聞きたいことは一つに絞る。
使う金額の上限を決める。
終了したい時刻を最初に伝える。
重大な決断を、その場だけで決めない。
怖がらせる言葉を言われたら通話を終了する。
これは占い師を疑うためではありません。
翌朝の自分を守るためです。
失恋した夜や婚活がうまくいかなかった夜は、いつもの自分より判断力が弱っています。普段なら買わないものを買い、普段なら信じない言葉にすがりたくなります。
そんな夜の私に必要なのは、「自分は冷静だから大丈夫」という自信ではなく、「今は冷静ではないかもしれない」という自覚です。
ココナラでは相談相手を比較して選び、電話番号を直接知らせずに利用できる一方、相談料は通話時間に応じて増えていきます。利用前には、表示されている一分あたりの価格、通話方法、支払い条件を必ず確認しておくことが大切です。
そして、相手との相性が合わないと感じたら、途中で終了してもいいのです。
「せっかく電話したのだから、何か答えをもらうまで切れない」
そう考える必要はありません。
占い師との相性も、美容院やカウンセラーとの相性と同じです。人気がある人でも、自分には合わないことがあります。
やさしい言葉が欲しい日に、断定的な人を選ぶと傷つくかもしれません。逆に、現実的な意見が欲しい日に、曖昧な励ましだけでは物足りないかもしれません。
プロフィールや評価は参考になります。でも、評価の高さが、自分との相性を保証してくれるわけではありません。
違和感を覚えたときにやめることは、失礼ではありません。
自分のお金と心を守るための、普通の判断です。
その夜、占い師から言われたのは「彼を待ちなさい」ではなかった
七夕の夜、私は結局、電話をかけました。
相談したかったのは、婚活で知り合った男性のことです。
三度会い、次の予定も話していたのに、急に連絡が減りました。
最後のメッセージは既読にならないまま五日が過ぎていました。
友人に話せば、「脈なしだよ」と言われるのが怖かったのです。
私はまだ、脈なしという言葉を受け止められるほど元気ではありませんでした。
電話がつながると、落ち着いた女性の声が聞こえました。
私は、最初から少し泣いていました。
彼と会った日のこと。
楽しかった会話。
次は水族館に行こうと言われたこと。
でも連絡が来ないこと。
私が何か変なことを言ったのではないかと、何度も会話を思い返していること。
話し終わるまで、相手は遮りませんでした。
それだけで、張り詰めていたものが少しほどけました。
私は聞きました。
「彼から、また連絡は来ますか」
占いなのだから、未来を教えてもらえると思っていました。
「来ます。もう少し待ちましょう」
そんな言葉を、どこかで期待していたのです。
でも返ってきたのは、予想していなかった質問でした。
「彼から連絡が来たら、あなたは本当に安心できますか」
私は答えられませんでした。
連絡が来たら安心できると思っていました。
でも、次にまた返信が遅くなれば、私は同じように不安になるでしょう。交際が始まっても、会えない日が続けば嫌われたと思うでしょう。結婚できたとしても、相手の機嫌を読みながら暮らすかもしれません。
私が怖がっていたのは、彼を失うことだけではありませんでした。
誰かに選ばれなければ、自分には価値がないと証明されてしまうことが怖かったのです。
それは占いで解決する問題ではありませんでした。
通話を終えたあと、私は少し拍子抜けしていました。
彼の未来も、二人の相性も、はっきりとは分からないままでした。
「それでは占いの意味がない」と思う人もいるかもしれません。
でも、その夜の私には、未来の答えより、自分が何を怖がっているのか分かったことのほうが大きかったのです。
翌朝、スマートフォンを見ると、彼から返信は来ていませんでした。
奇跡は起きませんでした。
七夕なのに、彦星は既読すらつけませんでした。
私は少し笑いました。
そして、彼にもう一度メッセージを送る代わりに、婚活アプリを閉じました。
ところが、その日の夕方、彼から連絡が来たのです。
「仕事でトラブルがあって、連絡できなかった。ごめん。また会いたい」
以前の私なら、飛び上がって喜んだと思います。
占いが当たった、願いが届いた、これで安心できる。そう思ったはずです。
でも私は、そのメッセージを見たまま、すぐには返信しませんでした。
うれしくなかったわけではありません。
ただ、五日間ずっと不安だった自分を、なかったことにはできなかったのです。
私は少し考えてから、こう送りました。
「連絡ありがとう。心配していました。落ち着いたら会いたいけれど、連絡できない状況になるなら、短くても一言もらえるとうれしいです」
送信ボタンを押す指は震えていました。
嫌われるかもしれない。面倒な女だと思われるかもしれない。
でも、自分の希望を伝えず、相手に合わせ続ける恋愛に戻るほうが、もう怖かったのです。
数分後、彼から返事が来ました。
「ごめん。その通りだと思う」
その後、彼とはもう一度会いました。
ここで「そして交際が始まりました」と書けば、きれいな物語になります。
けれど、実際には付き合いませんでした。
会って話してみると、彼は悪い人ではありませんでした。ただ、仕事に余裕がなくなると、誰とも連絡を取らなくなる人でした。
そして私は、連絡が途切れる関係の中では、いつも自分を責めてしまう人間でした。
どちらが正しいかではなく、合わなかったのです。
以前の私なら、「せっかく戻ってきてくれたのだから」と関係を続けたと思います。
でも私は、未来を当ててもらうために電話をした夜に、未来を選ぶのは自分だと気づいてしまいました。
これが、その夜のいちばん意外な結末です。
電話占いで彼との縁をつないでもらったのではありません。
切れかけていた、自分自身との縁をつなぎ直したのです。
だから私は、電話占いを「人生を決めてもらう場所」としては使いたくありません。
けれど、言葉にならない感情を誰かに聞いてもらい、自分の本音を見つけるきっかけとしてなら、選択肢の一つになることはあると思います。
ココナラの電話相談には、自宅から利用できること、相談相手を比較できること、電話番号を相手に直接伝えずに話せることなどの利点があります。一方で、一分単位の料金は会話が長くなるほど増え、心が弱っているときには同じ相談を繰り返したくなる可能性もあります。
占いは、未来の保証書ではありません。
高い料金を払ったから願いがかなうわけでも、有名な人に相談したから正しい決断ができるわけでもありません。
占い師の言葉は、人生の判決ではなく、窓から入ってくる風のようなものです。
少し空気が変わり、自分の部屋に何が置かれていたのか見えることがあります。でも、その部屋を片づけるのは自分です。
今夜、誰にも言えないことで胸がいっぱいなら、誰かに話すことは弱さではありません。
友人でも、家族でも、公的な相談窓口でも、有料の相談サービスでも構いません。
ただし、心が苦しくて日常生活を送れない状態が続いているときや、強い不安、抑うつ、自傷したい気持ちなどがあるときは、占いだけで抱えず、医療機関や専門的な相談窓口につながることが必要です。
七夕の短冊には、今年も願いを書けませんでした。
「結婚できますように」と書くのは、何かが違う気がしました。
だから小さなメモに、こう書きました。
「誰かに選ばれるために、自分を雑に扱いませんように」
未来は分かりません。
来年の七月、隣に誰がいるのかも分かりません。
それでも、分からないまま歩いていける自分になりたいと思います。
電話の向こう側に答えがある夜もあります。
でも、電話を切ったあとに残る小さな違和感や、胸の奥から出てきた本音の中に、もっと大切な答えが隠れていることもあります。
私たちが本当に占ってほしいのは、彼の気持ちではないのかもしれません。
「この先も私は、私を嫌いにならずに生きていけますか」
そんな問いを、誰かの声を借りて、自分自身に尋ねているのかもしれません。
そして、その答えだけは、占い師ではなく、これからの私が少しずつ作っていくものなのだと思います。
参考サイト
・ココナラ「電話相談サービスについて」
・ココナラ「電話占い」サービスカテゴリー
・独立行政法人国民生活センター「いつの間にか高額に…占いサイトに気を付けて!」
・独立行政法人国民生活センター「それって占い?!占いサイトのトラブルに注意」






